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行政作用法:行政行為とは・・


行政行為とは、行政庁などの行政機関が法に基づき、一方的に国民にはたらきかけることで、国民の権利義務に変動を生じさせ、それによって行政目的を実現する行為をいいます。

◆行政行為の分類
行政行為は、その内容や性質、法的効果等の観点からさまざまに分類される。

◎行政行為の分類
行政行為は大きく、法律行為的行政行為と準法律行為的行政行為の2種類に分けられます。
法律行為的行政行為とは、行政庁の意思表示によって、成立する行為であり、行政庁が望む法律効果を発生させるものです。これに対して、準法律行為的行政行為とは、判断ないし認識の表示に対し、法律の的によって一定の法律効果が発生する行為をいいます。

◎法律行為的行政行為
法律行為的行政行為には、①命令的行為と②形成的行為とがあります。

◇命令的行為
命令的行為とは、行政庁が国民に対して、国民が本来有している権利を制限したり、その制限を解除する行為をいいます。命令的行為には、下命、禁止、許可および免除の4種類があります。

◇下命
意味は、作為を命ずる行為です。
具体例は、課税処分などです。

◇禁止
意味は、不作為を命ずる行為です。
具体例は、道路の通行禁止、営業の禁止などです。

◇許可
意味は、一般的な禁止を解除する行為です。
具体例は、自動車の運転免許、営業許可などです。

◇免除
意味は、作為義務を解除する、つまり下名を解除する行為です。
具体例は、児童の就学義務の免除、納税の免除などです。


なお、許可を受けないで行った行為でも、私法上は有効とされる場合があります。たとえば、無許可で飲食店を営業した者の店舗内で飲食物を注文した者は、飲食契約自体は有効なので、飲食代金を払わなければなりません。

◇形成的行為
形成的行為とは、国民が本来有していない特別の権利や法的地位を、与えたり奪ったりする行為をいいます。形成的行為としては、特許および剥権、認可、代理があります。

①特許および剥権
特許とは、人が生まれながらには有していない新たな権利その他法律上の力ないしは地位を、特定人に設定する行為をいいます。
特許は、行政庁の自由裁量によりなされる行為です。したがって、前記の許可とは違い、たとえば、内容的に両立のできない複数の特許申請が競合する場合であっても、行政庁が裁量で特許を与える者を選ぶことができるのです。つまり先願主義を採用していません。
剥権とは、特許によって設定された権利を消滅させる行為をいいます。

②認可
認可とは、第三者の契約や合同行為などの法律行為を補充して、その法律上の効果を完成させる行為をいいます。認可を受けないでなされた法律行為は、無効となります。

③代理
代理とは、行政主体が、他の法的主体がなすべきである行為を代わりに行い、その結果、他の法的主体が行ったのと同様の効果をもたらす行為をいいます。

◇準法律行為的行政行為
準法律行為的行政行為には、次に示す4種類があります。

◇確認
特定の事実または法律関係の存否について、公の権威をもって判断しこれを確定する行為。
(例:建築確認、選挙の当選人の決定)

◇公証
特定の事実または法律関係の存在を公に証明する行為。「認識の表示」と表現されることがある。
(例:選挙人名簿への登録)

◇通知
特定人や不特定人に対して、一定の事項を知らせる行為
(例:納税の督促、事業認定の告示)

◇受理
相手方の行為を有効な行為として受け付ける行為
(例:各種の申請に対する受理)


◆法律行為的行政行為と準法律行為的行政行為のまとめ
◎法律的行政行為
◇命令的行為
◇下命
作為を命ずる行為。具体例としては、課税処分、違法建築物の除却命令など。

◇禁止
不作為を命ずる行為。具体例としては、営業の禁止、道路の通行禁止など。

◇許可
一般的な禁止を解除する行為。具体例としては、自動車の運転免許、火薬類輸入の許可、各種営業の許可・免許など。

◇免除
作為義務を解除する行為。納税義務の免除、具体例としては、児童就学義務の免除、年金保険料の免除など。

◇形成的行為
◇特許
新たな権利、地位等の法律関係を特定人に設定する行為。具体例としては、河川・道路占有許可、公有水面埋立て免許、鉱業権設定の許可など。

◇剥権
特許によって設定された権利を消滅さえる行為。具体例としては、河川・道路の占有許可の取消しなど。

◇認可
第三者の契約や合同行為などの法律行為を補充して、その法律上の効果を完成させる行為。具体例としては、農地の権利移転の許可、河川占用権の譲渡の承認、公共料金改定の認可、公共事業者の約款の認可など。

◇代理
行政主体が他の法的主体がなすべき行為を代わりに行い、その結果他の法的主体が行ったのと同様の効果をもたらす行為。具体例としては、土地収用の裁決、公共団体の役員の選任(任命)など。

◎準法律行為的行政行為
◇確認
特定の事実または法律関係の存否について、公の権威をもって判断しこれを確定する行為。具体例としては、建築確認、選挙における当選人の決定、国民年金受給額の決定、発明の特許、市町村の境界の決定など。

◇公証
特定の事実または法律関係の存在を公に証明する行為。具体例としては、選挙人名簿への登録、行政書士の登録、運転免許証の交付など。

◇通知
特定人や不特定人に対して一定の事項を知らせる行為。納税の督促、事業
認定の告示、代執行の戒告

◇受理
相手方の行為を有効な行為として受け付ける行為。各種申請の受理、不服申立ての受理など。

◆行政行為の効力

 行政行為には、①拘束力、②公定力、③不可争力、④自力執行力、⑤不可変更力
 が認められる。

 ◎行政行為の効力の種類

  行政行為には、一般私人間における法律行為とは異なる特殊な効力が認められ
  ています。①拘束力、②公定力、③不可争力、④自力執行力、⑤不可変更力の
  五つです。

  ◇拘束力

   拘束力とは、行政行為の相手方のみでなく、第三者や行政主体に対しても
   行政行為の効力が及ぶことをいいます。
   行政行為は公益の目的で行われるため、その効力を広く及ぼすべきである
   との考え方から認められている効力です。

  ◇公定力

   公定力とは、仮に違法な行政行為が行われた場合であっても、それが無効
   な行政行為でない限りは、取り消されるまで有効な行為として扱われる効力
   をいいます。
   行政目的の早期実現の観点から、認められた効力です。

  ◇不可争力

   不可争力とは、行政行為がなされてから一定期間が経過すると、もはや国民
   がその効力を不服申立てや取消訴訟によって争うことができなくなる効力を
   いいます。
   行政行為は多くの国民に影響を与える行為ですから、早期に効力を安定させ
   る必要があるため認められた効力です。ただし、行政庁の側から行政行為を
   取り消すことはできます。

  ◇自力執行力

   自力執行力とは、行政庁が、行政行為の内容を自力で実現できるという効力
   をいいます。たとえば、税金を支払おうとしない者に対し、行政庁は自ら
   取立てをすることができます。私法の世界のように、裁判所の判決を得る
   必要はありません。行政目的を早期を実現するために認められる効力です。
   ただ、自力執行力は非常に強力な効力を発揮しますので、行政権による濫用
   のおそれもあります。したがって、法律の根拠がある場合にのみ、自力執行
   力は認められます。たとえば税金の取立ては、国税徴収法や地方税法によっ
   て強制執行ができるとの定めがあるため、自力執行力が認められています。

  ◇不可変更力

   不可変更力とは、行政庁自身がその行政行為の取消しや変更をできなくなる
   効力をいいます。
   行政行為は多くの国民に影響を与える行為ですから、早期に効力を安定させ
   る必要があるため認められた効力です。ただし、行政庁の側から行政行為を
   取り消すことはできます。

  ◇自力執行力

   自力執行力とは、行政庁が、行政行為の内容を自力で実現できるという効力
   をいいます。たとえば、税金を支払おうとしない者に対し、行政庁は自ら
   取立てをすることができます。私法の世界のように、裁判所の判決を得る
   必要はありません。行政目的を早期に実現するために認められる効力です。
   ただ、自力執行力は非常に強力な効力を発揮しますので、行政権による濫用
   のおそれもあります。したがって、法律の根拠がある場合にのみ、自力執行
   力は認められます。たとえば、税金の取立ては、国税徴収法や地方税法に
   よって強制執行ができるとの定めがあるため、自力執行力が認められていま
   す。

  ◇不可変更力

   不可変更力とは、行政庁自身がその行政行為の取消しや変更をできなくなる
   効力をいいます。

 ◎行政行為の効力発生時期

  行政行為は、法令が特段の定めをしている場合を除き、行政行為が相手方に
  到達した時にその効力が発生します。
  具体的には、①相手方が現実に認識した時、または、②書面を郵便受けに入れ
  るなどして相手方が認識しようと思えばいつでも認識できる状態に置かれた
  時に効力が発生します。

◆行政行為の瑕疵

 行政行為に瑕疵がある場合、その瑕疵が重大かつ明白ならば、その行政行為は
 無効となる。

 ◎行政行為の瑕疵とは

  行政行為の瑕疵とは、行政行為の違法性または不当性の原因となるものを
  いいます。行政行為の瑕疵には、①無効な場合と②取り消すことができる場合
  とがあります。

 ◎行政行為が無効な場合

  無効な行政行為とは、はじめからまったく効力をもたない行政行為のことで
  す。行政行為の効力である公定力は認められません。したがって、裁判に
  よるまでもなく効力を否定できます。
  瑕疵がどの程度であれば無効な行政行為となるのかの基準について判例は、
  「瑕疵が重大かつ明白か否か」と示しています。瑕疵が重大かつ明白ならば、
  その行政行為が無効となります。

  ◇無効な行政行為の例

   ◇形式
    具体的には、書面による必要があるのに、口頭で済ませた行政行為

   ◇手続
    具体的には、議決が義務づけられているのに、議決を経ないでなされた
    行政行為

   ◇内容
    具体的には、内容が不明確な行政行為

   ◇行為者
    具体的には、強度の強迫などによって、行政庁がまったく意思のない
    状態で行った行政行為

 ◎行政行為を取り消すことができる場合

  重大かつ明白とはいえない程度の瑕疵、つまり、無効には至らない程度の瑕疵
  がある行政行為については、取り消すことができます。
  行政行為には公定力が認められるため、取り消すことができる行政行為は、
  取り消されるまでは有効として扱われます。行政行為が取り消されると、
  その効力はさかのぼって失われます(遡及効)。
  行政行為を取り消すことができるのは、正当な権限をもった行政庁または
  裁判所です。瑕疵を争う者は、①行政庁に対する不服申立て、②裁判所での
  取消し訴訟の二つのうちのどちらかを選択することになります。なお、不服
  申立て、取消訴訟ともに、期間制限があります。

 ◎行政行為の撤回

  行政行為の撤回とは、運転免許の取消しのように、いったん有効に成立した
  行政行為の効力を、その後に発生した新しい事情を理由に、将来に向かって
  消滅させることをいいます。
  撤回をすることができるのは、原則として行政行為をした行政庁に限られま
  す。行政行為を行う権限者が撤回をすることが合理的だからです。
  なお、上級行政庁(監督行政庁)は、特別の定めがある場合に限り、撤回が
  できます。

  ◇職権による取消しと撤回

   ◇職権による取消し

    意義は、行政行為の瑕疵が重大かつ明白なものではない場合に行政庁
    自らがする取消しです。行使の効果は、原則として遡及効になります。

   ◇撤回

    意義は、いったん有効に成立した行政行為の効力を、その後に発生した
    新しい事情を理由にして、将来に向かって消滅させることです。行使の
    効果は、将来効のみです。

   ◇行使事由の原則

    公益の管理者として行政行為の効力を維持することが公益上適当でない
    と判断したときは、原則として効力を失わせることができる。

 ◎違法性の承継

  違法性の承継とは、先行する行政行為の瑕疵を主張して、それに続く行政行為
  の取消しを求めることができるかという問題です。

   ◇違法性の承継の問題のイメージ

    ◇先行処分…これが違法となる場合
      ↓
    ◇後行処分…これも違法となるのか

  この場合は、原則として、先行の行政行為の違法を理由に後行の行政行為も
  違法との主張はできません。なぜなら、先行の行政行為と後行の行政行為は
  別個独立した行為だからです。
  しかし、先行処分と後行処分とが連続した一連の手続で、同一の目的を有し
  ている場合には、例外的に、後行処分が先行処分の違法性を承継して後行
  処分も違法となります。したがって、この場合には、違法性の承継の主張が
  できます。

 ◎瑕疵の治癒および違法行為の転換

  法律による行政の原理から考えると、瑕疵ある行政行為は取り消され、また
  は無効とされるべきです。
  しかし、この原則と貫くと、かえって不都合となる場合には、瑕疵ある行政
  行為を適法な行政行為として扱うことができると考えるべきです。判例上、
  瑕疵ある行政行為を適法な行政行為として扱うことが認められているものと
  して、①瑕疵の治癒と②違法行為の転換があります。

  ◇瑕疵の治癒

   瑕疵の治癒とは、瑕疵ある行政行為がなされた後に瑕疵が修復されて、
   完全に適法な行為になることをいいます。瑕疵の治癒は、瑕疵自体が軽微
   で、治癒する利益がある場合に認められます。



  ◇違法行為の転換

   違法行為の転換とは、ある行為が違法である場合に、別の行政行為として
   みたときに違法であるならば、その別の行政行為とみて有効として取り扱
   うということです。

◆行政行為の附款

 法律行為的行政行為には、条件、期限など、従たる意思表示である附款を付す
 ことができる。

 ◎附款とは

  附款とは、行政行為における主たる意思表示に従たる意思表示を加えるもの
  をいいます。
  たとえば、許可の内容が「自動車の運転免許を付与するが、眼鏡等を使用する
  こと」となっていたとします。この場合において、「自動車の運転免許を付与
  する」という部分が主たる意思表示であり、「眼鏡等を使用すること」という
  部分が従たる意思表示となります。この従たる意思表示の部分が附款です。
  附款がつけられるのは、行政行為の目的を達成するためです。「許可」は、
  一般的な禁止を解除する行為ですが、その目的を達成するためには許可を与え
  た国民が運転に適する視力を眼鏡等で補正する必要があるのです。

 ◎附款をつける場合

  附款は、法令が明文でつけることを定めている場合はもちろんですが、明文の
  規定がなくても、行政庁の裁量が認められる場合にその範囲内でつけることが
  できます。
  附款は、それ自体が意思表示ですから、一般に意思表示に基づく行政行為であ
  る、法律行為的行政行為にのみつけることができるとされています。また、
  行政目的の達成に必要な限度でのみつけることができるとされています。

  ◇法律行為的行政行為 →附款、つけられる
  ◇準法律行為的行政行為→附款、つけられない

 ◎附款の種類

  附款には、次に示す5種類があります。

  ◇条件
   意味は、行政行為の効果を、発生不確実な将来の事実に係らせる意思表示。
   ◇停止条件
    事実の発生によって行政行為の効果が生ずるもの
   ◇解除条件
    事実の発生によって行政行為の効果が消滅するもの
   具体例は、道路工事の開始日から通行を禁止する(停止条件)

  ◇期限
   意味は、行政行為の効果を、将来発生することの確実な事実に係らせる意思
   表示。
   ◇始期
    事実の発生によって行政行為の効果が発生する場合
   ◇終期
    事実の発生によって行政行為の効果が消滅する場合
   具体例は、「○月○日まで有効」とある運転免許証、宅建士証の有効機関。

  ◇負担
   許可、認可等の受益的行政行為に付加される意思表示で、相手方に特別の
   義務を命ずるもの。相手方が負担に従わなくても、本体たる行政行為の
   効力は消滅しない。
   具体例は、運転免許証の表面にある「免許の条件等眼鏡使用」。

  ◇取消し・撤回権の留保
   許認可などの行政行為をするにあたって、許認可を取り消す(撤回する)
   権利を留保する旨の意思表示を付加すること
   →撤回するには正当な理由が必要。附款をつければ無制限に行えるのでは
    ない
   具体例は、営業の許可をするに際して「一定の違反行為をしたときには
   許可を撤回する」旨を付記する

  ◇法律効果の一部除外
   行政行為をするにあたり、法令がその行政行為に認めている効果の一部を
   発生させないこととする意思表示のこと
   →法律に根拠がある場合にのみ、つけることができる
   具体例は、自動車道事業の免許にあたり、通行する自動車の範囲を限定
   する

 ◎附款の瑕疵

  附款に瑕疵がある場合は、どのような扱いとなるでしょうか。まず瑕疵には、
  ①附款が違法であり取消しができる場合と②附款に強度の違法があるため無効
  である場合とがあります。
  附款が違法であり取消しができる場合であっても、取り消されるまでは有効な
  ものとして扱われます。附款は行政行為の一部であり、公定力を有するから
  です。

 ◎附款のみの取消し

  附款が違法で取消しができる場合は、原則として附款のみを取り消すことが
  できます。
  しかし、例外として、本体である行政行為と附款が不可分一体となっている
  場合には、その附款がなければ行政行為がなされなかったといえます。この
  場合には、附款を含めた行政行為全体が違法となるため、全体を取り消さな
  ければならず、附款のみを取り消すことはできません。

















行政行為とは、行政機関が法に基づき、一方的に国民に働きかけることで、
国民の権利義務に変動を生じさせ、それによって行政目的を実現する行為の
ことを言います。

行政は、行政機関の一方的な判断の下に、国民の権利義務の変動を
生じさせるところに特徴があります。

このため、行政行為を行うためには、法律の根拠が必要とされています。

行政行為は、「法律行為的行政行為」と、「準法律行為的行政行為」とに
分類できます。

法律行為的行政行為とは、行政機関が、その意思表示によって、
望んだとおりの法律効果を発生させる行政行為になります。

法律行為的行政行為は、「命令的行為」と「形成的行為」に分類されます。

命令的行為とは、行政機関が国民に対して、本来国民が有している権利を
制限したり、あるいは、その制限を解除する行為を言います。
下命、禁止、許可、免除が該当します。

形成的行為は、国民が本来有していない特別な権利や法的地位を与えたり
奪ったりする行為のことを言います。
特許、剥権、許可、代理が該当します。
(詳細→「法律行為的行政作為とは・・」


準法律行為的行政行為は、行政機関が判断したり、
あるいは認識を示したことに対して、法律の規定により一定の効果が
発生することを言います。
確認、公証、通知、受理などの行為が該当します。
(詳細→「準法律行為的行政行為とは・・」


行政行為には、次に述べるような、私人間の契約などとは異なる効力が
認められています。

◆拘束力
◆公定力
◆不可争力
◆自力執行力
◆不可変更力

(詳細→「行政行為の効力とは・・」





◆行政行為の瑕疵

 行政行為の瑕疵とは、行政行為の違法性または不当性の原因となるものを
 いいます。

 行政行為の瑕疵には、無効な場合と取り消すことができる場合とが
 あります。

 ◎行政行為が無効な場合

  無効な行政行為とは、はじめからまったく効力をもたない行政行為の
  ことになります。

  行政行為の効力である公定力は認められません。

  したがって、裁判によるまでもなく効力を否定できます。

  瑕疵がどの程度であれば無効な行政行為となるのかの基準について
  判例は、「瑕疵が重大かつ明白か否か」と示しています。

  貸が重大かつ明白ならば、その行政行為が無効となります。

  ◇無効な行政行為の例

   ◇形式
    書面による必要があるのに、口頭で済ませた行政行為

   ◇手続
    議決が義務づけられているのに、議決を経ないでなされた行政行為

   ◇内容
    内容が不明確な行政行為

   ◇行為者
    強度の強迫などによって、行政庁がまったく意思のない状態で
    行った行政行為


 ◎行政行為を取り消すことができる場合

  重大かつ明白とはいえない程度の瑕疵、つまり、無効には至らない
  程度の瑕疵がある行政行為については、取り消すことができます。

  行政行為には公定力が認められるため、取り消すことができる行政行為は、
  取り消されるまでは有効として扱われます。

  行政行為が取り消されると、その効力はさかのぼって失われます(遡及効)。

  行政行為を取り消すことができるのは、正当な権限をもった行政庁または
  裁判所です。

  瑕疵を争う者は、行政庁に対する不服申立て、裁判所での取消訴訟の
  二つのうちのどちらかを選択することになります。

  なお、不服申立て、取消訴訟ともに、期間制限があります。


 ◎行政行為の撤回

  行政行為の撤回とは、運転免許の取消しのように、いったん有効に成立した
  行政行為の効力を、その後に発生した新しい事情を理由に、将来に向かって
  消滅させることを言います。

  撤回をすることができるのは、原則として行政行為をした行政庁に
  限られます。

  行政行為を行う権限者が撤回をすることが合理的だからです。

  なお、上級行政庁は、特別の定めがある場合に限り、撤回ができます。


 ◎違法性の承継

  違法性の承継とは、先行する行政行為の瑕疵を主張して、それに続く
  行政行為の取消しを求めることができるかという問題になります。

  この場合は、原則として、先行の行政行為の違法を理由に後行の行政行為も
  違法との主張はできません。

  なぜなら、先行の行政行為と後行の行政行為は別個独立した行為だからです。

  しかし、先行処分と後行処分とが連続した一連の手続で、同一の目的を
  有している場合には、例外的に、後行処分が先行処分の違法性を承継して
  後行処分も違法となります。

  したがって、この場合には、違法性の承継の主張ができます。


 ◎瑕疵の治癒および違法行為の転換

  法律による行政の原理から考えると、瑕疵ある行政行為は取り消され、
  または無効とされるべきです。

  しかし、この原則を貫くと、かえって不都合となる場合には、
  瑕疵ある行政行為を適法な行政行為として扱うことができると
  考えるべきです。

  判例上、瑕疵ある行政行為を適法な行政行為として扱うことが認められている
  ものとして、瑕疵の治癒と、違法行為の転換があります。

  ◇瑕疵の治癒

   瑕疵の治癒とは、瑕疵ある行政行為がなされた後に瑕疵が修復されて、
   完全に適法な行為になることを言います。

   瑕疵の治癒は、瑕疵自体が軽微で、治癒する利益がある場合に
   認められます。


  ◇違法行為の転換

   違法行為の転換とは、ある行為が違法である場合に、別の行政行為として
   みたときに適法であるならば、その別の行政行為とみて有効として
   取り扱うということになります。


◆行政行為の附款

 附款とは、行政行為における主たる意思表示に従たる意思表示を加えるものを
 いいます。

 たとえば、許可の内容が「自動車の運転免許を付与するが、眼鏡等を使用する
 こと」となっていたとします。

 この場合において、「自動車の運転免許を付与する」という部分が主たる
 意思表示であり、「眼鏡等を使用すること」という部分が従たる意思表示と
 なります。

 この従たる意思表示の部分が附款になります。

 附款がつけられるのは、行政行為の目的を達成するためになります。

 「許可」は、一般的な禁止を解除する行為ですが、その目的を達成する
 ためには許可を与えた国民が運転に適する資力を眼鏡等で補正する必要が
 あるのです。

 ◎附款をつける場合

  附款は、法令が明文でつけることを定めている場合はもちろんですが、
  明文の規定がなくても、行政庁の裁量が認められる場合にその範囲内で
  つけることができます。

  附款は、それ自体が意思表示ですから、一般に意思表示に基づく
  行政行為である、法律行為的行政行為にのみつけることができると
  されています。

  また、行政目的の達成に必要な限度でのみつけることができると
  されています。

 ◎附款の種類

  附款には、次に示す5種類があります。

  ◇条件
   行政行為の効果を、発生不確実な将来の事実に係らせる意思表示
   ◇停止条件
    事実の発生によって行政行為の効果が生ずるもの
   ◇解除条件
    事実の発生によって行政行為の効果が消滅するもの
   具体例としては、道路工事の開始日から通行を禁止する等が
   挙げられる。

  ◇期限
   行政行為の効果を、将来発生することの確実な事実に係らせる意思表示
   ◇始期
    事実の発生によって行政行為の効果が発生する場合
   ◇終期
    事実の発生によって行政行為の効果が消滅する場合
   具体例としては、「○月○日まで有効」とある運転免許証、
   宅建士証の有効期間などが挙げられます。

  ◇負担
   許可、認可等の授益的行政行為に不可される意思表示で、
   相手方に特別の義務を命ずるもの。
   相手方が負担に従わなくても、本体たる行政行為の効力は消滅しない。
   具体例としては、運転免許証の表面にある「免許の条件等眼鏡等使用」
   が挙げられます。

  ◇取消し、撤回権の留保
   許認可などの行政行為をするにあたって、許認可を取り消す権利を
   留保する旨の意思表示を付加すること。
   撤回するには正当な理由が必要。附款をつければ無制限に行えるの
   ではない。
   営業の許可をするに際して「一定の違反行為をしたときには
   許可を撤回する」旨を付記する等が挙げられます。

  ◇法律効果の一部の除外
   行政行為をするにあたり、法令がその行政行為に認めている効果の
   一部を発生させないこととする意思表示のこと。
   法律に根拠がある場合にのみ、つけることができます。
   具体例としては、自動車道事業の免許にあたり、
   通行する自動車の範囲を限定する等が挙げられます。
 

 ◎附款の瑕疵

  附款に瑕疵がある場合は、どのような扱いとなるでしょうか。

  まず瑕疵には、附款が違法であり取消しができる場合と、
  附款に強度の違法があるため向こうである場合とがあります。

  附款が違法であり取消しができる場合であっても、取り消されるまでは
  有効なものとして扱われます。

  附款は行政行為の一部であり、公定力を有するからです。

 ◎附款のみの取消し

  附款が違法で取消しができる場合は、原則として附款のみを取り消すことが
  できます。

  しかし、例外として、本体である行政行為と附款が不可分一体となっている
  場合には、その附款がなければ行政行為がなされなかったといえます。

  この場合には、附款を含めた行政行為全体が違法となるため、
  全体を取り消さなければならず、附款のみを取り消すことは
  できません。






 

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(記事作成日、平成29年3月8日)



 

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