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行政法:地方自治とは・・


◆地方自治制度とは
地方自治の本旨とは、地方自治の本質的要素を意味し、住民自治と団体自治のことだとされます。

◎地方自治法の目的
◇日本国憲法と地方自治
日本国憲法は、地方自治を憲法上の基本的な統治機構の一環として位置づけています。そして、地方公共団体の組織と運営は「地方自治の本旨」に基づいて法律で定めると規定しています。この法律が地方自治法です。


◇地方自治の目的
地方自治法1条は、地方自治の目的について、次のように定めています。

◇地方地自法1条
「この法律は、地方自治の本旨に基いて、地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め、併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする。」


◎地方自治の本旨
地方自治の本旨とは、地域住民の利益を保護するため、地方行政を実施していくのにあたって、欠かせない本質的なものをいいます。一般に、住民自治と団体自治の二つが地方自治の本質的要素とされています。


◇住民自治と団体自治
◇住民自治
地方行政が住民の意思に基づいて行われるという、民主主義的な要素を基礎とする制度。つまり、住民が地方の政治の担い手となること

◇団体自治
地理的環境や生活環境などを共通とする一定地域が、国から独立して地域一体となって、地域の実情に合ったより細かな行政を実施していくという、自由主義的な要素を基礎とする制度
このように、地方自治体は、住民自治と団体自治を前提にして、地方公共団体の区分や組織および運営、国との関係等を定めるものです。つまり、住民自治と団体自治に反するような区分や組織および運営、国との関係等を定めてはならないということです。


◆地方公共団体の種類
都道府県は、市町村と同格・同等だが、市町村を包括するため優位性が認められる場合がある。

◎地方公共団体とは
◇地方公共団体の意義
地方公共団体とは、一定の地域とそこに住む住民を構成要素とし、その地域に関連する公共的役務を実施する地域共同体であって、その地域の住民および滞在者に対し、包括的な支配権をもつ団体をいいます。

◇地方公共団体の種類
地方自治法上の地方公共団体は、大別して、普通地方公共団体と特別地方公共団体の二つに分類されます。

◎普通地方公共団体
普通地方公共団体とは、市町村と都道府県のことです。

◇市町村
市町村とは、住民の日常生活に必要な公共役務を提供する基礎的な地方公共団体のことです。
市町村は、基礎的な地方公共団体として、都道府県が処理するものとされているものを除き、一般的に、地域における事務およびその他の事務で法令により処理することとされるものを処理します。

◇市となるべき普通地方公共団体の要件
◇人口5万人以上を有すること(ただし、維持し続ける必要はない)
◇当該普通地方公共団体の中心の市街地を形成している区域内にある戸数が、全戸数の6割以上であること
◇商工業その他の都市的業態に従事する者およびその者と同一世帯に属する者の数が、全人口の6割以上であること
◇上記の要件のほか、当該都道府県の条例で定める都市的施設その他の都市としての要件を備えていること


◇大都市に関する特例
市町村のなかには、行政上の能力が都道府県に匹敵するものがあります。
そこで、地方自治法は、それらの大都市については、通常の市町村とは異なる扱いを設けています。具体的には、(政令)指定都市と中核市です。

◇(政令)指定都市と中核市の比較
◇(政令)指定都市
指定要件は、人口50万人以上を有する、政令で指定された市になります。事務の権限としては、①福祉、保健衛生、都市計画等通常は都道府県ないしその機関の事務とされている事務が指定都市の権限とされる、②市町村が都道府県知事の許認可その他の監督を受けて実施している事務について、その監督をなくし、または知事の監督に代えて、直接大臣の監督に従う等があります。行政区は、設置義務があります。

◇中核市
指定要件は、人口20万人以上を有することとなります。事務の権限としては、指定都市に委譲されている事務権限の一部が政令の定めに従って委譲されています。行政区は、設置できないです。
なお、指定都市については、市長の権限に属する事務のうち主として特定の区の区域内に関するものを処理させるため、区(行政区)に代えて総合区を設け、議会の同意を得て選任される総合区長を置くことができます。これは、2014年の地方自治法改正により新設された制度です。

◇都道府県
都道府県とは、市町村を包括する広域的な地方公共団体のことであり、広域にわたる事務、市町村に関する連絡調整に関するものおよびその規模または性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものを処理します。

◇市町村と都道府県との関係
都道府県または市町村は、その事務を処理するにあたっては、相互に競合しないようにしなければなりません。そこで、市町村と都道府県の事務分配をいかにするべきか、問題となります。
まず、市町村が実施できる事務は、原則として市町村が行います(市町村優先の原則)。その趣旨は、住民に最も近い市町村こそが、多種多様な住民の要望に的確に応え、住民の生活利益の確保および向上を図ることができるからです。
また、市町村と都道府県は、法律上は原則として、同格・同等であり、上下主従の関係に立つものではありません。
しかし、都道府県は市町村を包括する団体であり、都道府県内の行政の統一を図る観点から、市町村よりも優位性が認められる場合があります。
つまり、市町村および特別区は、当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはなりません。条例に違反して行った行為は、無効となります。
また、都道府県は、市町村を包括する広域団体としての立場から、包括する市町村間の連絡調整や市町村行政の補足ないしは助成を行います。

◇都道府県が行う市町村間の連絡調整や市町村行政の補足
◇複数の市町村にまたがる広域的な公共事務(道路、河川、港湾、産業廃棄物の処理等)
◇市町村の連絡調整、格差の是正、争議の裁定等
◇市町村の規模と能力を超える難しい大規模な公共施設の設置および管理等(医療、教育、社会福祉施設の設置等)
◇小規模な市町村では実施することの困難な事務の補足
なお、指定都市と都道府県は、両者の事務の処理について連絡調整を行うために必要な協議をするため、指定都市都道府県調整会議を設置することとされています。これは、2014年の地方自治法改正により新設された制度です。


◎特別地方公共団体
特別地方公共団体とは、法律の定める特別の事務を処理するために設置される地方公共団体のことです。
その種類は、特別区、地方公共団体の組合および財産区の3種類です。

◇特別区
特別区とは、東京都の23区をいいます。特別区は市町村と同じく地域と住民を構成要素とし、しかも市町村に近い包括的な行政権限をもつ団体です。
特別区は、法律または政令により都が処理することとされているものを除き、地域における事務ならびにその他の事務で法律または政令により市が処理することとされているものおよび法律または政令により特別区が処理することとされるものを処理します。また、特別区は、基礎的な地方公共団体として、事務処理にあたることになっています。

◇地方公共団体の組合
地方公共団体の組合とは、複数の地方公共団体が一部の事務を共同処理するために設ける団体をいいます。その種類は、①一部事務組合および②広域連合の二つです。

◇一部事務組合
複数の地方公共団体がその事務の一部を共同処理するためにその協議により規約を定め、都道府県の加入するものにあっては総務大臣、その他のものにあっては都道府県知事の許可を得て、設けることができる
→公益上必要がある場合に、都道府県知事は、関係市町村および特別区に対し、設置を勧告できる

◇広域連合
複数の地方公共団体がその事務で広域にわたり処理することが適当であると認められるものに関し、広域にわたる総合的な計画(広域計画)を作成し、その事務の管理および執行について広域計画の実施のために必要な連絡調整を図り、ならびにその事務の一部を広域にわたり総合的かつ計画的に処理するために、その協議により規約を定め、都道府県の加入するものにあっては総務大臣、その他のものにあっては都道府県知事の許可を得て、設けることができる
→公益上必要がある場合に、都道府県知事は、関係市町村および特別区に対し、設置を勧告できる


◇財産区
財産区とは、市町村および特別区の一部で財産を有し、もしくは公の施設を設けているものまたは市町村および特別区の廃置分合もしくは境界変更の場合における地方自治法またはこれに基づく政令の定める財産処分に関する協議に基づき市町村および特別区の一部が財産を有しもしくは公の施設を設けるものとなるものをいいます。


◎地方公共団体の変更
◇名称の変更
次の手続で行うことができます。

◇都道府県の名称変更…法律で変更できる
◇市町村の名称変更…事前に都道府県知事との協議をしたうえで、条例で変更できる


◇区域の変更
区域の変更には、廃置分合と境界変更の2種類があります。
廃置分合は、地方公共団体の合併、分割、分立を行うもので、地方公共団体の新設や廃止を伴います。
境界変更は、区域の変更を行うものです。


◇都道府県・市町村の区域の変更の手続
都道府県は法律によって区域の変更を行います。
市町村の区域の変更は、関係市町村が都道府県知事に申請し、都道府県知事が都道府県議会の議決を経て決定します。その後ただちに、都道府県知事が総務大臣に届け出ます。ただし、区域の変更のうち、市の廃置分合の場合には、都道府県知事はあらかじめ総務大臣に協議し、その同意を得る必要があります。


◇二つ以上の都道府県の廃止およびそれらの区域の全部による一つの都道府県の設置、または都道府県の廃止およびその区域の全部の他の一つの都道府県の区域への編入手続

次の手続を経て定めることができます。

◇関係都道府県の議会の議決を経る
◇関係都道府県の申請を、総務大臣を経由して、内閣が国会の承認を経て定める


◆地縁による団体
地縁による団体は、市町村長の認可により、権利義務の帰属主体となることができる。

地縁による団体とは、地方公共団体ではありませんが、町または字の区域その他市町村内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体をいいます。
地縁による団体は、市町村長の認可によって、規約に定める目的の範囲内において、権利義務の帰属主体となることが可能です。


◎地縁団体が認可を受けるための要件
①その区域の良好な地域社会の維持および形成に資する地域的な共同活動を行うことを目的とし、現にその活動を行っていると認められること
②その区域が、住民にとって客観的に明らかなものとして定められていること
③その区域に住所を有するすべての個人が構成員となることができ、その相当数の者が現に構成員となっていること
④規約を定めていること
→規約に目的、名称、区域、構成員の資格・代表者・資産に関する事項等を定めてあること

市町村長が認可をしたときは、告示をしなければなりません。
なお、認可を受けても、その地縁団体が公共団体その他の行政組織の一部を構成することにはなりません。


◎地縁団体認可の効果
◇認可地縁団体は、正当な理由がない限り、その区域に住所を有する個人の加入を拒否できない
◇認可地縁団体は、民主的な運営の下に、自主的に活動をするものとし、構成員に対し不当な差別的取扱いをしてはならない
◇認可地縁団体を特定の政党のために利用してはならない


◆条例と規則
条例は、法律の範囲内で制定されるが、一定の場合、上乗せ条例や横出し条例が許容される。

◎条例および規則の制定
◇自治立法権としての条例および規則の制定
地方公共団体は、国の制定した法令を執行して行政の実施にあたっています。しかし、国の法令は、原則として、全国一律の基準の下で規制が行われるため、地域によっては、適切な規制が行われない場合があり得ます。
そこで、地域の実情に合わせて、より緻密な規制が必要となる場合には、法律の範囲内で、条例および規則を制定することが認められています。


◇法律と条令の関係
条例は、法律の範囲内で制定することができるといっても、その範囲は一義的に明確なわけではありません。この点につき、判例は、ある条例が法律の範囲内で制定されたかを評価するにあたり、単に形式的な文言のみを対比して判断してはいません。条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の制定の趣旨、目的、内容および効果などを実質的な観点で比較対照し、両者の間に矛盾牴触があるか否かにより決せられます。
そこで、いわゆる上乗せ条例や横出し条例も許容される場合があります。
この点について判断した判例をみてみましょう。


◇条例を制定することができる場合
◇国の法令がまったく規制を設けていない分野(未規制分野)である場合、条例を制定することができます。例えば、道路上で歩行しながら喫煙する行為を条例で規制すること等があります。

◇法律が規制している対象であっても、法律の規制とは別の目的である場合、条例を規制することができます。例えば、刑法の処罰対象であるわいせつ行為につき、近隣の迷惑防止の観点から迷惑防止条例で規制すること等があります。


◎条例と規則の異同
◇条例
条例の意義は、議会が定立する自主法になります。
制定権の範囲は、①法律に違反しないこと、②普通地方公共団体の事務に関する事項であることになります。
権利の制限としては、義務を課し、または権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除き、条例によらなければならいとされています。
具体例としては、青少年保護条例、公害防止条例等があります。
罰則の制定としては、普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に以下の罰則を設けることができます。①2年以下の懲役もしくは禁錮、②100万円以下の罰金、③拘留、④科料、⑤没収、⑥5万円以下の過料。
規則との関係は、原則、それぞれが独自の管轄領域を有しており、相互に対等な関係であります。例外としては、①競合する領域は、条例が規則に優位します。②条例を執行するために規則が制定される場合は、規則は条例に従属します。
制定手続は①議決は、議会の議長から長に、議決の日から3日以内に送付、②公布は、再議その他の措置を講じた場合を除き、送付を受けた日から20日以内に公布、③施行は、原則として公布の日から10日を経過した日から施行となります。


◇規則
意義は、普通地方公共団体の長が定立する自主法になります。
制定権の範囲は、①法令に違反しないこと、②普通地方公共団体の事務に関する事項であることになります。
権利の制限は、原則としてできないです。
罰則の制定は、普通地方公共団体の長は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、普通地方公共団体の規則中に、規則に違反した者に対し、5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができます。
両者の関係は、原則は、それぞれが独自の管轄領域を有しており、相互に対等な関係になります。例外として、①競合する領域では、条例が規則に優位します。②条例を執行するために規則が制定される場合は、規則は条例に従属します。
制定手続は、①議会の議決なくして、公布、施行、②公布の日から10日を経過した日から施行となります。


◆財務等
◎地方公共団体の財産管理
長は、毎会計年度予算を調製し、年度開始前に、議会の議決を経なければならない。


◇予算と決算
◇会計
◇会計年度独立の原則と会計年度、出納の閉鎖
各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもって充てなければなりません。これを会計年度独立の原則といいます。財政健全化のために、必要な考え方です。
普通地方公共団体の会計年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終わるものとされています。


◇一般会計と特別会計
普通地方公共団体の会計は、一般会計および特別会計とされます。
特別会計は、普通地方公共団体が特定の事業を行う場合など、特定の歳入をもって特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に、条例でこれを設置することができます。


◇予算
◇予算の内容
◇歳入歳出予算
◇継続費
◇繰越明許費
◇地方債
◇一時借入金
◇債務負担行為
◇歳出予算の各項の経費の金額の流用


◇統計予算主義の原則
一会計年度における一切の収入および支出は、すべてこれを歳入歳出予算に編入しなければなりません。


◇予算の調製および議決
普通地方公共団体の長は、毎会計年度、予算を調製し、年度開始前に、議会の議決を経なければなりません。予算の調製権は、長にのみ認められています。
これに対して議会は、長が提出した予算を否決することができます。
さらに、減額や増額の修正もできます。


◇継続費
普通地方公共団体の経費をもって支弁する事件でその履行に数年度を要するものについては、予算の定めるところにより、その経費の総額および年割額を定め、数年度にわたって支出することができます。


◇繰越明許費
歳出予算の経費のうち、その性質上、または予算成立後の事由に基づき、年度内にその支出を終わらない見込みのあるものについては、予算の定めるところにより、翌年度に繰り越して使用することができます。


◇債務負担行為
歳出予算の金額、継続費の総額または繰越明許費の金額の範囲内におけるものを除くほか、普通地方公共団体が債務を負担する行為をするには、予算で債務負担行為として定めておかなければなりません。


◇地方債の起債
普通地方公共団体は、別に法律で定める場合において、予算の定めるところにより、地方債を起こすことができます。地方債の起債の目的、限度額、起債の方法、利率および償還の方法は、予算で定めなければなりません。


◇一時借入金
普通地方公共団体の長は、歳出予算内の支出をするため、一時借入を借り入れることができます。


◇予算の執行
普通地方公共団体の長は、政令で定める基準に従って予算の執行に関する手続を定め、これに従って予算を執行しなければなりません。


◇予備費
予算外の支出または予算超過の支出に充てるため、歳入歳出予算に予備費を計上しなければなりません。ただし、特別会計には、予備費を計上しなければなりません。ただし、特別会計には、予備費を計上しないことができます。


◇収入および支出
◇収入
◇地方税
普通地方公共団体は法律の定めるところにより地方税を賦課徴収することができる
→道府県税、市町村税


◇分担金等
分担金、使用料、加入金および手数料に関する事項については、条例で定めなければならない

①分担金
特定の者に対し利益のある事件に関し、その必要な費用に充てるため、特に利益を受ける者から受益の限度において徴収する金銭

②使用料
許可を受けてする行政財産の使用または公の施設の利用について徴収する金銭

③加入金
公有財産の使用の許可を受けた者から徴収する金銭

④手数料
普通地方公共団体の事務で特定の者のためにするものについて徴収する金銭


◇地方債
普通地方公共団体は、別に法律で定める場合において、予算の定めるところにより、地方債を起こすことができる


◇支出
◇経費の支弁等
普通地方公共団体は、当該事務を処理するために必要な経費その他法律またはこれに基づく政令により当該普通地方公共団体の負担に属する経費を支弁する


◇寄付または補助
普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄付または補助をすることができる


◇支出負担行為
普通地方公共団体の支出の原因となるべき契約その他の行為は、法令または予算の定めるところに従い、これをしなければならない

◇支出の方法
会計管理者は、普通地方公共団体の長の政令で定めるところによる命令がなければ、支出をすることができない


◇契約および財産
◇契約
◇契約の締結
売買、賃貸、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約またはせり売りの方法により締結します。


◇各方法の意味
◇一般競争入札
不特定多数の者を入札に参加させ、契約の相手方とするために競争させる方法


◇指名競争入札
資産、信用その他についてあらかじめ適切と認める特定多数の者を通知によって指名し、入札により競争させる方法


◇随意契約
競争の方法によらないで、特定の相手方を任意に選択して締結する方法


◇せり売り
入札の方法によらないで、不特定多数の者を口頭または挙手によって競争させる方法


◇方法の制限
指名競争入札、随意契約またはせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができます。


◇現金および有価証券
◇金融機関の指定
都道府県は、政令の定めるところにより、金融機関を指定して、都道府県の公金の収納または支払いの事務を取り扱わせなければなりません。
市町村は、政令の定めるところにより、金融機関をしてして、市町村の公金の収納または支払いの事務を取り扱わせることができます。


◇現金および有価証券の保管
普通地方公共団体の歳入歳出に属する現金は、政令の定めるところにより、最も確実かつ有利な方法によりこれを保管しなければなりません。
普通地方公共団体の所有に属しない現金または有価証券は、債権の担保として徹するもののほか、法律または政令の規定によるのでなければ、保管することができません。


◇金銭債権の消滅時効
金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利は、時効に関し他の法律に定めがあるものを除くほか、5年間これを行わないときは、時効により消滅します。


◇公の施設
◇公の施設の意義と利用
公の施設とは、住民の福祉を増進する目的をもって、その利用に供するための施設のことです。たとえば、市民体育館や図書館、保養所などがこれにあたります。
普通地方公共団体は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならず、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはなりません。
普通地方公共団体は、適当と認めるときは、利用料金を徴収することができますが、利用料金に関する事項は条例で定めなければなりません。


◇公の施設の設置、管理および廃止
普通地方公共団体は、法律または政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置および管理に関する事項は、条例で定めなければなりません。
また、普通地方公共団体は、条例で定める重要な公の施設のうち、条例で定める特に重要なものについて、これを廃止し、または条例で定める長期かつ独占的な利用をさせようとするときは、議会において出席議員の3分の2以上の者の同意を得なければなりません。
なお、普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するために必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であって当該普通地方公共団体が指定するもの(指定管理者という)に、当該公の施設の管理を行わせることができます。この場合の利用料金は、公益上必要があると認める場合を除くほか、条例の定めるところにより、指定管理者が定めます。


◇公の施設の区域外設置および他の団体の公の施設の利用
普通地方公共団体は、その区域外においても、関係普通地方公共団体との協議により、公の施設を設けることができます。
また、普通地方公共団体は、他の普通地方公共団体との協議により、当該他の普通地方公共団体の公の施設を、自己の住民の利用に供させることができます。


◇公の施設の利用権に関する処分についての審査請求
普通地方公共団体の機関がした公の施設を利用する権利に関する処分に不服がある者は、当該普通地方公共団体の長に審査請求をすることができます。


◎国と地方公共団体との関係・地方公共団体相互間の関係
普通地方公共団体への国または都道府県の関与に関する係争の処理機関として、国地方係争処理委員会および自治紛争処理委員がある。


◇普通地方公共団体に対する国または都道府県の関与
◇国と地方公共団体の関係
明治憲法下では、中央集権国家体制がとられていたため、国が主、地方が従の関係にあるとされていました。
日本国憲法は中央集権的国家体制を改め、国と地方の主従関係が対等の関係へと再構築されました。この理念を徹底するため、1999年に「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(地方分権一括法)」が成立し、その施行により地方自治法も、機関委任事務の廃止など、大改正を受けたことは前記のとおりです。
このように、地方公共団体は、国とは別個の存在として国の干渉を受けることなく自治権を有しこれを行使します。
しかし、いくら自治権を有しているとはいっても、国と完全に独立した関係にあるわけではありません。国の制度の中で地方自治が存在していることは確かです。
そこで、地方自治法は、国と地方公共団体との基本的な関係を定めています。すなわち、原則として国は、国が本来果たすべき役割を重点的に担当し、他方、地方公共団体は地域における行政を自主的に実施する役割を担当することとしたのです。


◇普通地方公共団体に対する国または都道府県の関与
◇国または都道府県の関与の原則
◇関与の法定主義
普通地方公共団体は、その事務の処理に関し、法律またはこれに基づく政令によらなければ、普通地方公共団体に対する国または都道府県の関与を受け、または要することとされてることはないとする原則


◇必要最小限度の原則
国が関与する場合であっても、目的を達成するために必要最小限度のものとするとともに、普通地方公共団体の自主性および自立性に配慮しなければならないとする原則


◇公正・透明の原則
国または都道府県の普通地方公共団体への関与の客観化を図り、各地方公共団体に対する差別的、不利益的な取扱いを回避するための諸原則


◇書面主義
国の行政機関または都道府県の機関は、普通地方公共団体に対し、助言、勧告その他これらに類する行為を書面によらないで行った場合において、当該普通地方公共団体から当該助言等の趣旨および内容を記載した書面の交付を求められたときは、原則として、これを交付しなければならない


◇許認可等の判断基準
国の行政機関または都道府県の機関は、普通地方公共団体からの申請または申出があった場合において、許可、認可、承認、同意その他これらに類する行為をするかの判断基準を定め、かつ、原則としてこれを公表しなければならない


◇標準処理期間の設定
国の行政機関または都道府県の機関は、申請等がその事務所に到達してから許認可等をするまでに通常要すべき標準的な期間を定め、かつ、これを公表するように努めなければならない


◇到達主義
国の行政機関または都道府県の機関は、申請等が法令により提出先とされている機関の事務所に到達したときは、遅滞なく当該申請等に係る許認可等をするための事務を開始しなければならない


◇書面による理由の提示
国の行政機関または都道府県の機関は、普通地方公共団体に対して許認可等を拒否する処分をするとき、または許認可等の取消し等をするときは、許認可等を拒否する処分または許認可等の取消し等の内容および理由を記載した書面を交付しなければならない


◇関与の方法
普通地方公共団体の事務の処理に関し、国の行政機関や都道府県の機関は、原則として次の行為を行います。


◇助言または勧告
①各大臣は、その担当する事務に関し、普通地方公共団体に対し、適切と認める技術的な助言、勧告をすることができる
②普通地方公共団体の長その他の執行機関は、各大臣に対し、その担当する事務の管理、執行について技術的な助言、勧告または必要な情報の提供を求めることができる


◇資料の提出の要求
各大臣は、その担当する事務に関し、普通地方公共団体に対し、適切と認める技術的な助言、勧告をするため、もしくは普通地方公共団体の事務の適正な処理に関する情報を提供するため、必要な資料の提出を求めることができる


◇是正の要求
①各大臣は、その担当する事務に関し、都道府県の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該自治事務の処理について違反の是正または改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができる
②普通地方公共団体は、各大臣から求めを受けたときは、当該事務の処理についてその違反の是正または改善のための必要な措置を講じなければならない

◇指示
各大臣は、その所管する法律またはこれに基づく政令に係る都道府県の法定受託事務の処理が法令に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益に害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該法定受託事務の処理について違反の是正または改善のため講ずべき措置に関し、必要な指示を行うことができる


◇代執行
各大臣は、その所管する法律もしくはこれに基づく政令に係る都道府県知事の法定受託事務の管理もしくは執行が法令の規定もしくは当該各大臣の処分に違反するものがある場合において、または当該法定受託事務の管理もしくは執行を怠るものがある場合において、代執行以外の方法によって是正を図ることが困難であり、かつ、それを放置することにより著しく公益を害することが明らかであるときは、所定の手続を経て、当該都道府県知事に代わって当該事項を行うことができる


◇例外的な関与
その他、同意、許可、認可または承認、協議等、一定の行政目的を実現するため、普通地方公共団体に対して具体的かつ個別的に関する行為が定められている


◎国と地方公共団体の間の係争処理
国と地方公共団体とは、すでにみたように、対等の関係にあると位置づけられています。したがって、国と地方公共団体の間で生じた紛争は、対等な関係で解決することが求められます。そこで、地方分権改革の趣旨に沿って導入されたのが、紛争解決処理制度です。その中核となるのは、国地方係争処理委員会であり、第三者機関として紛争解決にあたります。


◇国地方係争処理委員会とは
国地方係争処理委員会とは、普通地方公共団体に対する国の関与に関する審査の申出について、地方自治法の規定によりその権限に属する事項を処理する委員会のことです。


◇国地方係争処理制度の流れ
◇審査の申出
普通地方公共団体の長その他の執行機関は、その担当する事務に関する次に掲げる国の関与に不服があるときは、国地方係争処理委員会に対し、当該国の関与を行った国の行政庁を相手方として、文書で審査の申出をすることができる

①是正の要求、許可の許否その他の処分その他公権力の行使にあたるもの(関与があった日から30日以内)
②国の不作為
③国との協議が調わないとき
 ↓
◇審査
国地方係争処理委員会の審査は、審査申出の日から90日以内に行わなければならず、関係行政機関を手続に参加させ、証拠調べをする等の方法で行う

※調停
国地方係争処理委員会は、担当であると認められるときは、職権により、調停案を作成して、両当事者に示し、その受諾を勧告するとともに、理由を付してその要旨を公表することができる
 ↓
◇審査後
①国の関与が、自治事務に関して違法もしくは不当であるとき、または法定受託事務に関して違法であるとき

→国地方係争処理委員会は、国の行政庁に対し、理由を付し、かつ、期間を示して、必要な措置を講ずべきことを勧告するとともに、当該勧告の内容を普通地方公共団体の長その他の執行機関に通知し、公表しなければならない

→勧告を受けた国の行政庁は、当該勧告で示された期間内に、当該勧告に即して必要な措置を講ずるとともに、その旨を委員会に通知しなければならない

→委員会は、当該通知に係る事項を、普通地方公共団体の長その他の執行機関に通知し、かつ公表しなければならない

②国の関与が適法かつ正当であるとき
→国地王係争処理委員会は、普通地方公共団体の長その他の執行機関と国の行政庁に対して、理由を付して通知し、公表しなければならない
  ↓
◇訴訟の提起
審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関は、次に掲げる場合において、審査の結果もしくは韓国の内容の通知または措置に関する委員会からの通知があった日から30日以内に、高等裁判所に対し、当該審査の申出に係る違法な国の関与の取消しまたは当該審査の申出に係る国の不作為の違法の確認を求める訴訟を提起できる(審査申出前置主義)

①国地方係争処理委員会の審査の結果または勧告に不服がある場合
②国の行政庁の措置に不服がある場合


◇国地方係争処理委員会の組織
◇設置
国地方係争処理委員会は、総務省に置く

◇委員の任命
両議院の同意を得て、総務大臣が任命する

◇委員の人数
5名

◇委員の任期
3年

◇委員長の権限と議事
①委員の互選で委員長が選出する
②委員会は、委員長が招集する
③委員長と委員2名以上の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない
④議事は、出席者の過半数で決する
⑤可否同数のときは、委員長が決する


◎地方公共団体相互の間の係争処理
◇自治紛争処理制度
普通地方公共団体相互間または普通地方公共団体の機関相互間の紛争の解決方法としては、自治紛争処理委員による調停、審査と、高等裁判所に対する訴訟の提起が認められています。
自治紛争処理委員とは、市町村に対する都道府県の関与に関する審査や地方自治法による審査請求または審査の申立てもしくは審決の申請に係る審理を処理する機関をいいます。


◇自治紛争処理制度の流れ
◇調停
普通地方公共団体相互の間、または普通地方公共団体の機関相互の間に紛争があるときは、地方自治法に特別の定めがあるものを除くほか、都道府県または当道府県の機関が当事者となるものにあっては総務大臣、その他のものにあっては都道府県知事が、当事者の文書による申請に基づき、または職権により、紛争の解決のため、自治紛争処理委員を任命し、その調停に付することができる


◇審査
総務大臣は、市町村長その他の市町村の執行機関が、その担当する事務に関する都道府県の所定の関与に不服があり、または協議が調わないことについて、関与があった日から30日以内に、文書により、自治紛争処理委員の審査に付することを求める旨の申出をしたときは、すみやかに、自治紛争処理委員を任命し、当該申出に係る事件をその審査に付さなければならない
→自治紛争処理委員は、都道府県の関与が違法(もしくは不当)であるときは、都道府県の行政庁に対し、理由を付し、かつ、期間を示して、必要な措置を講ずるべきことを勧告するとともに、当該勧告の内容を市町村長その他の市町村の執行機関に通知し、公表しなければならない


◇訴訟の提起
審査の申出をした市町村長その他の市町村の執行機関は、次に掲げる場合において、審査の結果もしくは勧告の内容の通知または都道府県の行政庁の措置に関する総務大臣からの通知があった日から30日以内に、高等裁判所に対し、当該申出に係る違法な都道府県の関与の取消しまたは当該申出に係る都道府県の不作為の違法の確認を求める訴訟を提起できる(審査申出前置主義)①自治紛争処理委員の審査の結果または勧告に不服がある場合②都道府県の行政庁の措置に不服がある場合

◇自治紛争処理委員の組織
◇独任制の原則
委員1名ずつが独任制の機関である。ただし、委員の合意によることとされる事項を除く
◇委員の任命
委員は、事件ごとに、総務大臣または都道府県知事がそれぞれ任命する
◇委員の人数
3名(非常勤)

◎国等による不作為の違法確認訴訟
すでに説明したとおり、国地方係争処理委員会または自治紛争処理委員の判断に不服がある場合、審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関は、高等裁判所に対し、審査の相手方となった国または都道府県の行政庁を被告として、違法な関与の取消しまたは不作為の違法確認の訴えを提起することができます。
これに対し、国や都道府県が是正の要求等をした場合において、是正の要求等を受けた地方公共団体がこれに応じた措置を講じないなど適切な対応をしないときには、所定の手続により、国または地方公共団体が、当該地方公共団体の行政庁を被告として、訴訟を提起する制度が設けられています。
すなわち、是正の要求または是正の指示を受けた普通地方公共団体の長その他の執行機関が、国地方係争処理委員会等に対する審査の申出をせず、かつ、当該是正の要求に応じた措置または是正の指示に係る措置を講じないとき等に、高等裁判所に対し、当該普通地方公共団体の不作為の違法確認訴訟を提起することができます。
国と地方公共団体との関係あるいは地方公共団体相互の関係をめぐるこれらの訴訟は、すべて行政事件訴訟法上の機関訴訟にあたります。


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地方自治法は、地方公共団体の区分や組織、運営、国との関係などについて定めた法律です。

憲法では、地方自治を憲法上の基本的な統治機構の一部として位置付け、地方公共団体の組織と運営は、地方自治の本旨に基づいて法律で定めると規定しています。

この規定に基づいて制定されている法律が地方自治法になります。

日本国憲法には、国の行政の担い手として内閣に関する規定が定められ、また、地方の行政に関しては、地方自治の規定が定められています。

しかし、これらの規定は、いずれも抽象的な規定にとどまっていますので、この規定を具体化するものとして、さまざまな行政法が制定されています。

行政法は、憲法の規定を具体化する法律であるため、憲法で定められた内閣や地方自治の規定の趣旨に反する内容とすることは認められません。

地方自治法も、広い意味では、行政法の一部に含まれます。

行政法が、国の行政について定めたものであるのに対し、地方自治法は、地方公共団体の行政について定めたものになります。

また、地方自治については、憲法第92条により、憲法上保障されていることから、同条で保障された、
いわゆる地方自治の本旨に反する規定を地方自治法や行政法に置くことは認められていません。


◆地方公共団体とは・・
地方公共団体とは、一定の地域とそこに住む住民を構成要素とし、その地域に関連する公共的役務を実施する地域共同体であって、その地域の住民および滞在者に対し、包括的な支配権を有する団体のことになります。
地方自治の本質的な要素は、住民自治と団体自治の2つになります。
憲法では、地方自治の本旨と呼ばれるところになります。


◎住民自治
住民自治とは、内閣や省庁など、国から鑑賞されることなく、地方行政をその地方の住民の意思で自主的に行うことを言います。
住民の意思に基づいた政治によって、地方の実情にあった行政を行い、地方住民固有の利益を実現することが可能となります。


◎団体自治
団体自治とは、国から独立して法人格を持った地域の団体を設け、この団体が地方行政を担当することを言います。
地理的環境、生活環境などの利害が共通する地域の住民が一体となることで、国からの不当な干渉に対抗することができるのです。





◆地方公共団体の種類
地方公共団体は、まずは、普通地方公共団体と特別地方公共団体に分けることができます。
普通地方公共団体は、市町村と都道府県に分けることができます。
(詳細→「地方公共団体の機関とは・・」

特別地方公共団体は、特別区と地方公共団体の組合と財産区に、分けることができます。




◆住民の権利とは・・

住民の権利としては、選挙権及び被選挙権と直接請求があります。
(詳細→「住民の権利とは・・」





◆地方自治体が行う事務とは・・
地方公共団体が行う事務は、自治事務と法定受託事務に分けられます。
(詳細→「地方公共団体の機能とは・・」


 

◎関連記事
 ・行政法とは・・
 ・行政組織法とは・・
 ・行政作用法とは・・
 ・行政救済法とは・・
 ・行政手続法とは・・

(記事作成日、平成29年3月24日)



 

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