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行政救済法:国家賠償法とは・・


公務員の不法行為または公の営造物の設置・管理の瑕疵による損害は、国・公共団体が賠償責任を負う。

◆国家賠償とは
◎国家賠償制度の意味
たとえば、警察官が犯人をパトカーで追跡中、第三者の運転する自動車に接触し、損害を与えたとします。この場合は、警察官の行為は個人的なものではなく、国や公共団体の行為だといえますし、被害者の救済のためには、警察官個人に対する損害賠償請求よりも、国や公共団体に対する損害賠償請求を認めるほうが適切だと考えられます。このようなときのために用意された仕組みが、国家賠償制度です。
すなわち、国家賠償制度は、公務員の不法行為によって国民が受けた損害を、国または公共団体が賠償する制度です。
すなわち、国家賠償制度は、公務員の不法行為によって国民が受けた損害を、国または公共団体が賠償する制度です。

◎国家賠償法による国または公共団体の責任
公務員によって不法行為がなされた場合に、その不法行為をなした公務員個人は、被害者に対して責任を負うのでしょうか。私人間の法律関係を規律する民法の不法行為制度では、加害者個人が責任を負うのを原則としています。
しかし、こお考え方をそのまま公務員の不法行為に持ち込むのは適当ではありません。前記の警察官のケースで説明したとおり、公務員の行為は個人的なものではないし、公務員個人への責任追及は必ずしも被害者救済に資するとはいえないからです。
したがって、公務員によって不法行為がなされた場合には、被害者は、加害者である公務員に対して、賠償責任を追及することはできないとされています。
被害者に対し賠償責任を負うのは、公務員の使用者にあたる国または公共団体です。
国家賠償責任の法的責任は、本来は加害者である公務員の負う賠償責任を、国または公共団体が代わりに負う、代位責任であると考えられています。

◇代位責任の意味
本来加害者である公務員の賠償責任を、その使用者にあたる国または公共団体が代わりに負うこと

◇代位責任の効果
加害者である公務員は故意または重大な過失がある場合は、賠償責任を負担した国または公共団体から求償される

◎国家賠償法と民法の不法行為制度
国家賠償法は、不法行為制度について定める民法709条~724条の規定の特別法です。
したがって、国または地方公共団体の公務員の不法行為については、まず国家賠償法が適用されることになり、民法が適用される場合よりも責任追及が容易になっています。つまり、特別法としての国家賠償法を適用して責任追及を容易にすることで、国民の基本的人権を保護し、行政活動を積極的にコントロールしようとする日本国憲法の趣旨が表れているのです。
そして、たとえば、過失相殺の規定や時効期間のように、国家賠償法に規定のない事項については、一般法である民法の規定が適用されます。
国家賠償法は、公務員の不法行為に基づく賠償責任と、公の営造物の設置・管理の瑕疵に基づく賠償責任の2種類の責任を規定しています。

◆公務員の不法行為に基づく賠償責任
◎公務員の不法行為の成立要件
公務員の不法行為は、次の表に掲げる要件を満たす場合に成立します。公務員に不法行為が成立する場合は、国または公共団体が、これにより生じた損害を賠償する責任を負います。

◇公務員の不法行為の成立要件
◇国または公共団体の公権力の行使にあたる公務員の行為であること
◇公務員がその職務を行うについての行為であること
◇公務員の故意または過失による行為であること
◇公務員が違法に他人に損害を加えたこと

◎国または公共団体の公権力の行使にあたる公務員の行為であること
◇公権力の意味
公権力とは、国や公共団体に属する権力のことで、特に制限はないので、立法権、司法権および行政権のいずれもが該当し得ます。立法権や司法権について、不法行為の成立が問題となった判例を次に掲げます。

◇立法権、司法権の行使と国家賠償
◇立法権…国会議員の立法行為
国会議院の立法行為は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず、国会があえて当該立法行為を行うというような、容易に想定しがたいような例外的な場合でない限り、国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法の評価を受けない

◇司法権…裁判官がした争訟の裁判
裁判官がした争訟の裁判につき国家賠償法1条1項の規定による国の損害賠償責任が肯定されるためには、当該裁判官が違法または不当な目的をもって裁判をしたなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認められるような特別の事情があることを必要とする

◇公権力の行使の意味
公権力の行使とは、契約などの私的な経済活動と公の営造物の設置管理作用を除いた、国または公共団体の活動を指します。したがって、国または地方公共団体のすべての活動が国家賠償法上の公権力の行使に含まれるわけではありません。
具体的には、行政行為や行政強制などの、市民の意思には関係なく一方的になされる権力的な作用だけでなく、行政指導や国公立学校における教育活動のような公的事実行為等が、公権力の行使にあたります。
なお、公の営造物の設置作用が除かれるのは、国家賠償法2条によって国家賠償請求の対象となるためです。結局、私的経済活動を除いた、すべての公権力活動が国家賠償請求の対象となるのです。

◇公務員とは
公務員とは、公権力の行使の権限をもつ一切の者をいいます。国家公務員、地方公務員だけでなく、公庫等のいわゆる特殊法人の職員や、民間の建築確認検査機関である指定確認検査機関や社会福祉法人の職員等の民間人を含みます。つまり、公務員という一定の地位にある者のことではなく、公権力を行使する権限を有する者のことを指すのです。
なお、賠償請求においては、原則としてどの公務員が不法行為を行ったのかが明確にされる必要があります(加害公務員の特定)。この加害者の特定は通常、被害者が行うことになります。
しかし、警察機動隊員の実力行使により暴行を受けるなど、公務員の集団的な加害行為から損害が生じた場合や、一連の行為から損害が生じた場合のように、加害公務員を明確に特定することが困難なことがあります。
判例は、そのような場合に、加害公務員の特定なしに国の損害賠償責任を認めることがあります。

◎公務員がその職務を行うについての行為であること
職務を行うについての行為であるか否かは、行為の外形から客観的に判断され、公務員が職務執行を行っているとの主観的な意図は不要です。つまり、公務員が客観的に職務執行の外形を備えた行為を行っていれば、職務を行うについての行為であると認められます。

◎公務員の故意または過失による行為であること
故意とは「意図してわざと」という意味であり、過失とは「誤って」という意味です。つまり、過失は行為者に要求される注意義務を果たさず、誤って損害の結果を発生させることです。
この場合の過失は、個々の公務員の能力に応じた注意義務に違反することではなく、当該公務員に職務上要求される標準的な注意義務に違反することとされています。
そもそも過失は、人の内面的な心理的要素です。外から見てその有無を判断するのは難しいといえます。そこで、過失の判断基準を客観的に判断できる「公務員に職務上要求される標準的な注意義務」として、過失の認定を容易にしたのです。
なお、過失は、重大な過失であることまでは要求されません。

◎公務員が違法に他人に損害を加えたこと
◇違法の意味
違法とは、法秩序に反することをいいます。具体的な法令に違反することだけでなく、社会通念等に照らし、客観的に正当性を欠くことも含みます。
違法について問題となるのが、公務員の不作為です。不作為は、原則として違法とされません。ただし、法令上、具体的な作為義務を課されている公務員による権限の不行使が、許容される限度を逸脱して著しく不合理であると認められるときは、その不作為は違法と評価されることがあります。

◇損害の意味
損害には、生命、身体、財産が損なわれた場合はもちろん、精神的な損害も含まれます。

◎公務員の不法行為の効果
◇被害者による責任追及
公務員に不法行為が成立した場合に、被害者は、国または公共団体に対して、不法行為により生じた損害の賠償を請求することができます。
公務員の選任または監督にあたる者と、公務員の俸給、給与その他の費用を負担する者とが異なる場合は、被害者はそのいずれに対しても損害賠償を請求することができます。このような場合に、国民の側からみると、いずれを被告として訴えればよいかわかりにくいため、被告の選択について、被害者の救済の観点から便宜を図っているのです。

◇国または公共団体による加害公務員に対する求償の制限
国または公共団体が、被害者に賠償責任を果たした場合において、加害者である公務員に故意または重過失があったときは、国または公共団体は公務員に対して、求償権を行使することができます。逆にいえば、公務員に軽過失しか認められない場合は、求償権を行使することはできません。
また、国または公共団体による加害公務員に対する求償に、民法は適用されません。民法が適用されるのは、「国又は公共団体の損害賠償の責任について」のみだからです。したがって、国または公共団体が有する求償権には、民法の過失相殺や短期消滅時効などの規定は適用されません。
なお、国または公共団体は、加害公務員に対して懲戒処分をすることもできます。

◆公の営造物の設置または管理の瑕疵に基づく賠償責任
◎営造物責任の成立要件
次に掲げる要件を満たす場合において、道路や河川などの公共施設から生じた損害について、国または公共団体はこれを賠償する責任を負います。この責任は、公共施設において発生した危険について責任を負うのは国または地方公共団体である旨を定めるものです。

◇営造物責任の成立要件
◇道路、河川その他の公の営造物であること
◇公の営造物の設置または管理に瑕疵があったこと
◇他人に損害が生じたこと

◎道路、河川その他の公の営造物であること
次のようなものが、公の営造物にあたります。

◇公の営造物の例
国または地方公共団体が、公用または公共の用に供している有体物(公物)
例えば、不動産(橋、空港など)、動産(公用車、椅子、拳銃など)、自然公物(河川、池沼など)、人工公物(道路、官庁舎など)などがあります。

◎公の営造物の設置または管理に瑕疵があったこと
◇設置または管理の瑕疵
設置または管理の瑕疵とは、営造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいいます。瑕疵があるか否かは、営造物の構造、用法、場所的環境および利用状況などの事情を総合的に考慮して、個別具体的に判断されます。

◇設置または管理の瑕疵が問題となった判例
◇瑕疵を否定
改修計画に基づいて現に改修中である河川については、改修計画が全体として格別不合理なものと認められないときは、特別の事由がない限り、未改修部分が未改修であるとの一事をもって河川管理に瑕疵があるということはできない。

◇瑕疵を肯定
幅員7.5mの国道の中央線近くに故障した大型貨物自動車が約87時間駐車していたままになっていたにもかかわらず、道路管理者がこれを知らず、道路の安全保持に必要な措置をまったく講じなかったときは、道路の管理に瑕疵があるというべきである。

◇無過失責任
瑕疵についての管理者の故意または過失の有無は問われません。つまり、営造物責任は、公務員の不法行為に基づく責任とは異なり、無過失責任です。
ただ、無過失責任といっても、不可効力の場合や、瑕疵が被害者の行為によって生じた場合は、責任を負いません。

◎他人に損害が生じたこと
公務員の不法行為に基づく責任の場合と同様、生命、身体、財産などの損害や精神的な損害がこれにあたります。

◎営造物責任の内容
◇国または公共団体の責任
公の営造物の設置または管理の瑕疵によって損害をこうむった者は、国または公共団体に対して、損害賠償を請求することができます。
営造物の設置または管理にあたる者と営造物の設置または管理の費用を負担する者とが異なる場合には、被害者はそのいずれに対しても、損害賠償を請求することができます。
この点につき、国が補助金を交付している場合は、国が費用負担者として責任を負うかが問題となります。

◇国が補助金を交付している場合の判例
法律の規定上営造物(国立公園)を設置しうる国が、自らこれを設置するのに代えて、特定の地方公共団体に対しその設置を認めたうえ、営造物の設置費用につき地方公共団体の負担額と同等またはこれに近い経済的な補助(補助金)を供与する反面、地方公共団体に対し、法律上当該営造物につき危険防止の措置を請求しうる立場にあるときには、設置費用の負担者に含まれる。

◇判例が立てた要件
①法律上設置費用を負担する義務を負う者と同等もしくはこれに近い設置費用を負担している者であること
②実質的に負担義務者と営造物による事業を共同して執行している者であること
③営造物の瑕疵による危険を効果的に防止しうる者であること

◇国または地方公共団体による他の責任者への求償権の行使
公の営造物の設置または管理の瑕疵により生じた損害を賠償した国または地方公共団体は、損害の原因について責めに任ずべき者が他にいるときは、この者に対して、求償権を行使することができます。


◆責任追及の手続等
国家賠償請求は、民事訴訟手続に基づいて行われます。
被害者が外国人である場合は、相互の保証がある場合に限って、国家賠償請求ができます。これを相互保証主義といいます。
なお、違法な行政処分により生じた損害につき国家賠償の請求をする場合であっても、当該行政処分に対して、取消しまたは無効確認の行政事件訴訟を提起する必要はありません。国家賠償制度は現実に生じた損害を賠償する制度であり、行政事件訴訟とは目的を異にするからです。
また、処分に対する取消訴訟の出訴期間が経過して当該処分に不可争力が生じたとしても、国家賠償請求訴訟は、処分の効力を争う訴訟ではないため、不可争力の影響は受けません。したがって、当該処分の違法を理由として国家賠償請求訴訟を提起することは可能です。



◆損失補償制度
損失補償は、違法な公権力の行使により、特別の犠牲を強いられた者に対して行われる。

◎損失補償制度とは
◇損失補償制度の意味
損失補償は、国または公共団体の違法な活動によって生じた損失を補償する制度をいいます。
憲法29条は、1項で財産権の不可侵を定める反面、3項で私有財産を公共のために用いることができると規定しています。この場合は、公共のために特定の個人に財産的損失を強いるのですから、正当な補償が必要となり、これを実現するのが損失補償制度です。


◇損失補償の実現方法
憲法は、損失補償を保障していますが、法律で損失補償制度を設けるようには特に要求していません。
そのため、損失補償法というような一般法は制定されておらず、財産権を制限する個々の法律に損失補償請求権についての規定が設けられています。
そのような規定が設けられていない場合であっても、損失補償を請求することができないわけではなく、判例は、憲法29条3項の規定に基づいて損失補償を請求することができるとしています。


◎損失補償の要件
憲法は、私有財産を、正当な補償がなされることを条件に、「公共のために」用いることができると定めています。
この「公共のために」用いるとは、広く公益のために財産に損失が与えられる場合をいいます。たとえば、土地を収用したり(公用収用)、利用を制限したり(公用制限)する場合です。
もっとも、私有財産を公益目的で用いる場合に、常に損失補償が必要というわけではありません。財産上、特別の犠牲を強いられる場合に限り、補償が必要となるのです。
この特別の犠牲とは、特定人に対する制約であって、財産権の本質を害するような強度な制約を行うこととされています。
具体的には、次に示す要件を満たす場合です。


◇特別の犠牲に該当する場合
◇公共の安全・秩序の維持のための制限ではないこと
公共の安全・秩序の維持のための制限は当然に必要であるから補償は不要
具体例:建築基準法や消防法による建築の規制

◇損失が特定人のみに生じていること
損失が一般的なものであれば補償が不要だが、特定人にのみ損失が生じていれば、平等原則(憲法14条)との関係で補償が必要となる
具体例:ダム建築のための土地の公用収用

◇損失が受忍限度を超えること
特定人にのみ損失が生ずる場合であっても、受忍限度を超え、財産権の本質に侵害するほど強度の損失を与える場合にのみ、補償が必要

◇損害補償に関する判例
①ため池の破損、決壊を防ぐために堤とうでの耕作を禁止することは、災害を防止し、公共の福祉を保持するための社会生活上やむを得ない制約であるので、それは堤とうを使用しうる財産権を有する者が当然受忍しなければならない責務であり、損失補償を必要としない

②行政財産の使用許可(市役所における売店の設置など)がされた後、当該行政財産本来の用途・目的に供する必要が生じたため使用許可を取り消すときは、使用権の喪失に伴う積極的な損失について補償する必要はない


◎損失補償の内容
◇補償の内容
憲法29条3項にいう「正当な補償」は、損失補償が財産権を保障するためのものである以上、原則として完全な補償を意味します。
しかし、常に完全な補償を必要とはせず、相当な補償で足りるというのが、判例の傾向です。この点につき、完全補償説と相当補償説とを整理します。


◇判例の傾向:完全補償説と相当補償説
◇完全補償説
正当な補償とは、当該財産の客観的な市場価格を全額補償すべきであるとする考え方。
土地収用法における補償価格の算定について完全補償説を採用。

◇相当補償説
正当な補償とは、当該財産について合理的に算出された相当な額であれば、市場価格を下回っていてもよいとする考え方。
①終戦直後の農地改革における農地買収価格について相当補償説を採用。
②土地収用法の合憲性が争われた事案について相当補償説を採用。
「憲法29条3項にいう「正当な補償」とは、その当時の経済状況において成立すると考えられる価格に基づき合理的に算出された相当な額をいうのであって、必ずしも常に上記の価格と完全に一致することを要するものではない」


◇補償の方法
◇金銭補償の原則
損失補償は、金銭での補償が原則となります。ただし、金銭による補償だけでは不十分な場合もあります。そこで、例外的に金銭以外での補償が認められている場合があります。

◇補償の時期
補償の時期について憲法は何も定めておらず、判例は、補償が財産の供与と交換的になされる、同時履行までを保証するものではないとしています。

◇収用目的が消滅した場合
収用の目的が消滅した場合には、収用目的物は不要となるため、被収用者に返還すべきであると考えられます。しかし、判例は、当然に被収用者に返還しなければならないわけではないとしています。

◎国家賠償と損害補償の限界
たとえば、違法な公権力の行使がなされたが、公務員に過失がなかったとします。この場合には、要件を欠くため、国家賠償請求はできません。また、損害補償の請求もできません。損失補償の対象は「適法な」公権力の行使だからです。
このような場合に、どのようにして被害者を救済するかということが、予防接種事故をめぐる訴訟で、何度も争われてきました。
この点につき、判例のなかには過失の認定を緩めることで、国家賠償請求を可能にして、被害者を救済したものがあります(被害者が予防接種の禁忌者に該当することを推定し、そのことを予診で調べなかったことを過失とした事例)。














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公務員の不法行為によって、国民が受けた損害を国や公共団体が賠償する制度のことを国家賠償制度と言います。

国家賠償法は、この国家賠償制度が適用される場合について定めた法律になります。

国家賠償法は、公権力の行使に基づく損害賠償責任と、公の営造物の設置管理の瑕疵に基づく損害賠償責任を2本柱としています。


◆公権力の行使に基づく損害賠償責任
国家賠償法において、公務員が不法行為を行った場合に、その不法行為を原因として、国民に発生した損害については、国や公共団体に賠償責任を負わせていますが、
この場合、国民は、公務員個人に対して、損害賠償請求をすることができないとされています。
国家賠償法1条1項は、国や地方公共団体の公権力の行使にあたる公務員が、その職務を行うについて、故意や過失によって、違法や他人に損害を加えたときは、国や地方公共団体が、これを賠償する責任があるとしています。
公権力とは、原則として憲法で出てきた行政権のほか、立法権、司法権が含まれます。
被害者は、国や地方公共団体に対して損害賠償を求めることができます。
国や地方公共団体が、加害者である公務員に対して、求償権を行使することができます。



◆公の造営物の設置管理の瑕疵に基づく損害賠償責任
また、国家賠償法では、公の営造物の設置、または管理の瑕疵に基づいて発生した損害につき、国または公共団体に賠償責任を負わせています。
公の営造物とは、国や公共団体が公用または公共の用に供しているもののことで、具体的には、河川などの自然公物や道路などの人工公物などがあります。
設置または管理の瑕疵とは、営造物が通常有すべき安全性を欠いていることになります。
この公の営造物の設置、または管理の瑕疵に基づく責任は無過失責任、すなわち、管理者に過失がなくても負う責任とされています。


◆相互保障主義
被害者が外国人である場合は、原則としては国家賠償請求ができません。
ただし、相互の保障があるときに限り、国家賠償請求を認めています。
これを相互保障主義と言います。


 

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(記事作成日、平成29年3月31日)



 

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