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憲法20条は、信教の自由と政教分離の原則を定めています。
◆憲法第20条
「1、信教の自由は、何人に対しても、これを保障する。
   いかなら宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を
   行使してはならない。
 2、何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを
   強制されない。
 3、国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしては
   ならない。」
信教の自由は、近代の憲法史上、精神的自由の基盤をなすものだったと言えます。
すなわち、近代の自由主義は、中世の宗教的な圧迫に対する抵抗から生まれ、
その後、殉教の歴史を経て成立したと評価されるのです。
まさに命を賭して信教の自由を貫いた殉教者のおかげで、
自由の基盤が築かれたと言えます。
日本においては、戦前、「神社は宗教にあらず」とされて、国家神道は、
国家主義、軍国主義の精神的な柱とされてきました。
こうした時代を経て、戦後、日本国憲法は、個人の信教の自由を厚く保障し、
国家と宗教との分離を明確にしたのです。
 
日本国憲法20条1項後段と同条3項は、国家の宗教的中立性を
定めています。
これは、国家と宗教とが癒着すると、少数者の信教の自由を侵害する
おそれがあるからです。
◆信教の自由の内容と限界
 信教の自由は、何人に対しても、これを保障すると規定し、
 その権利を保障しています。
 信教の自由には、信仰の自由、宗教的行為の自由、宗教的結社の自由が
 含まれます。
 ◎信仰の自由
  信仰の自由は、次の3つからなります。
  ◇信仰をもつこと、またはもたないことを強制されない
  ◇信仰をもつこと、またはもたないことによって不利益を受けない
  ◇沈黙の自由または告白の自由
 ◎宗教的行為の自由
  信仰に関して、祭壇を設け、礼拝や祈祷を行うなど、宗教上の儀式、祝典、
  行事その他の布教などを行う自由、それらに参加する自由のことになります。
  また、これら宗教的行為を行わない自由、参加を強制されない自由をも
  含みます。
 ◎宗教的結社の自由
  宗教的結社の自由は、次の3つからなります。
  ◇宗教的結社をつくり、またはつくらない自由
  ◇宗教的結社に入り、または入らない自由
  ◇宗教的結社において活動し、またはしない自由
 ◎信教の自由の限界
  宗教的行為の自由と宗教的結社の自由は、内心の領域にとどまらず、
  外部に向けた行為を伴います。
  したがって、他の者との人権とぶつかるおそれがあります。
  そこで、信教の自由の保障は絶対的なものではなく、
  必要最小限度の内在的制約を受けることになります。
◆政教分離の原則
 政教分離とは、政治と宗教を分離させることになります。
 つまり、国家に、宗教に対して中立的であることを求める原則になります。
 ◎政教分離の趣旨、目的
  ◇個人の信教の自由、特に少数者の信教の自由を補強すること
   国家と宗教が結びつくと、国家が支持する宗教以外の信者や無宗教者に
   対する宗教的迫害が生じていくことは、歴史が示しています。
  ◇宗教の堕落を防止すること
   宗教は、一度国家から特典を与えられるとその立場を維持しようと、
   国家に対して迎合しがちであります。
  ◇政府を破壊から救うこと
   宗教は絶対的価値観に基づくものであり、民主主義に反する側面を
   有している
 ◎政教分離の原則の内容
  ◇宗教団体への特権付与の禁止
   例:宗教団体のみに対する土地や建物の無償貸与
  ◇宗教団体の政治上の権力行使の禁止
  ◇国および地方公共団体の宗教的活動の禁止
   例:都道府県の靖国神社、護国神社への玉串料の奉納
 ◎政教分離の原則の法的性質
  政教分離の原則は、憲法上の制度的保障であるとされています。
  つまり、政教分離という制度自体が客観的に憲法により保障されています。
  具体的には、政教分離制度に違反する立法は憲法違反の問題が生じ、
  立法権に対する歯止めになります。
  また、国民が国の立法や行為に関して、信教の自由などの人権侵害を
  理由に訴えを提起した場合に、政教分離制度は国の立法や行為の違法性を
  主張する理由になりうるのです。
 ◎政教分離の限界:目的効果基準
  政教分離が原則とはいっても、国家と宗教とがまったくかかわりをもっては
  いけないということではありません。
  たとえば、特定の宗教団体と関係のある私立学校に対する助成金や文化財に
  対する補助金を交付しないとすれば、不合理な差別となるでしょう。
  国と宗教とのかかわりが許されるか否かは、問題となっている行為の目的が
  宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進または圧迫、
  干渉になるかにより判断されます。
  この基準を目的効果基準と言います。
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(記事作成日、平成29年3月30日)